(16) 東京移住から、半年

東京移住
今の気持ち!

 4月に東京移住をしてから、半年が過ぎようとしている。あっという間の6カ月だった。通勤電車も、人込みをかき分けて歩くのも、お互いに干渉しないドライな人間関係も、楽しい。カルチャーショックのU曲線にたとえるなら、まだハイテンションのハネムーン期にいるのか。あるいは、厳しいことも、大変なことも乗り越えたから、カルチャーショックからの回復期に入り始めたころになるのか。まだよくわからない。

 一番厳しいと思ったのは、西日本のアクセント。これは仕事場で、勉強の場で、遊びの場で指摘された。「おかしい」「間違っている」という辛口で意地悪なコメントもあったし、「ゆったり」「上品」という優しい言葉かけもあった。次に、ドライな人間関係である。人の目や他人の言うことをものすごく気にしていた地方生活に比べると、ほとんど挨拶もしないし、言葉をかけても返事がなかったりすると、固まることもある。が、そういうものなのだと割り切れるようになってきた。愛想をふりまくことも、つくり笑いをすることも必要ないのは、気が楽だ。

 電車の中やマンションの廊下などで話をしない、人込みの中で急に立ち止まらない、行列のどこが最後尾かを素早く見分ける、通勤電車にはリュックサック型のカバンを前にして乗り降りするなど、暗黙のルールのようなものにも慣れてきた。地方にいたときは大声で話しても大丈夫だったし、用事があれば急に立ち止まっても後ろに人がいることは稀だった。コンビニでは、行列に並ばずに買い物ができていた。しかし、東京暮らしでは、暗黙のルール違反には周りの厳しい目が突き刺さる。小さい失敗をして、娘たちに叱られることはあるが、できるだけ気をつけるようにしている。

 シルバーウィークで地方に戻ってみたら、木々の緑が目に染みた。9月に入って東日本は雨続きだが、西日本は晴天だった。鳥の声、虫の声がよく聞こえてくる。しばらくの間は、二拠点の行き来が続く。去年の今頃は、定年退職後に何をするかという大きな不安があった。その頃、今の自分が立っている場所は想像もできなかった。これからあと半年して東京移住一年を迎えるころに、通勤している自分、通学している自分がどうなっているのか、少し楽しみだ。

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