おすすめの本(4) 『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』

『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』 益田ミリ 幻冬舎文庫 2008年

 益田ミリさんの本は、いったい何冊くらいあるのだろう。プロフィールを検索すると、イタストレーター・エッセイストとある。2024年には『ツユクサナツコの一生』(新潮文庫、2023年)で第28回手塚治虫文化賞短編賞を受賞している。ともかくたくさんの本があるが、私が選んだのは、この本。今から20年近くも前に、「女」「ひとり旅」「47都道府県」制覇をキーワードにするというアイデアに惹かれた。「33歳の終わりから37歳まで、毎月東京からフラッとひとり旅」をしたと書かれている。

 コロナ禍を経て、旅がまたブームになっている。ひとり旅も、女性だけの旅も、ローカルバスの旅も、廃線廃駅の旅も、ひとりキャンプも、日本縦断登山も、豪華客船一人旅も、何だってある。インターネットで様々な情報を入手して、格安チケットやホテルを比較検索して予約し、お得な旅のプランも立てることもできる。

 ところが、この本にある47都道府県女ひとり旅は、今から20年以上も前の話だ。2002年12月に青森県から始められている。2002年はどんな年だったかと調べてみると、『ハリー・ポッターと賢者の石』ほかシリーズ全3作品がベストセラーになり、折りたたみ式の携帯電話がでて、SDカードを入れるカメラ付き携帯電話で静止画を送信できるサービスが開始されたとある。旅が終わった2006年はというと、携帯電話の番号ポータビリティ制度が開始されたり、任天堂のWiiが発売されたり、『人は見た目が9割』(新潮新書)がベストセラーになったりした年なのである。つまり、懐かしいほど、ずっと前のことなのだ。

 そんな時代に、観光スポット巡りでも、名物料理を目指すのでもなく、肩の力の抜けたような旅をしている。今から見返すと新しい時代の価値観が予見されるような旅のスタイルは、読んでいて楽しい。

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