インバウンド観光で、東京がすごいことになっている。電車の中、駅、新宿や渋谷や銀座、レストランにカフェに居酒屋と、ふつうに行くところでたくさん見かける。小グループや家族など、行き先をスマホで検索しながら、どこにでも行ける時代になった。東京駅などでは、旅行社の旗をもったガイドさんの後に外国人観光客の団体が歩く姿も見かけるが、多くは個人旅行のようだ。
外国人観光客の急増とガイド不足から、2018年に「通訳案内士法」が改正され、国家資格を持たない人でも有償で通訳案内ができるようになった。ただし、国家資格を持っていない人は、「通訳ガイド」とか「日本ガイド」とか、特定の地名をつけたガイドとかいった名称は名乗れない。だが、需要は多いから、いろんな会社の求人もある。求人サイトを見ると、未経験者でも、資格がなくても・・・と書かれている。ちなみに、国家資格の「全国通訳案内士」の合格率は15%(2025年:英語)と、狭き門だ。それが、法律改正で正式名称は使えないけれど、誰でもできるようになった。ところが、誰でもできそうで、やってみるとけっこう難しいのである。
定年退職をしてハローワークに行ってみたら、一つ紹介された。十名以上を一度に募集しているらしい。ツアーの申し込みがあって、その日に行けるなら仕事があるというアルバイトといった感じだ。履歴書を出し、オンラインで英語の面接を受けて、2回の研修に臨んだ。一回は外国人の接客と会社のルール説明、もう1回は観光地をどう回って、どう説明するかの実地研修だった。そこで初めて、ほかの採用者と出会った。子育てを終えた人、大学生、留学生、副業する人、定年退職した人など、さまざまだ。
おおよそのルートは決まっているが、オーダーメイドの部分もあって、旅行者のニーズに応じて臨機応変に対応するという仕事だった。個別のオーダーがある場所の下見も必要なので、手間はかかる。説明文章にも目を通して、英語で説明する本なども使って練習をした。外国人観光客を案内している動画もいろいろアップされているから、それで雰囲気もつかんだ。当日はホテルに迎えに行き、当社を選んでいただいたお礼を言う。ルートやスケジュール、体調確認などをして、出発できるという報告なども入れないといけない。たくさんの質問や急な依頼などにも応えながら、何とか終了した。
あらかじめ聞いていた「やりたいこと」と、出会ってから具体的に言ってくる「やりたいこと」には、けっこうズレがある。本人たちも、来る前のイメージと、実際に行ってみたり、やってみたりして思うことは違っていたりもする。「臨機応変」に異文化間コミュニケーションをする力が必要で、本当に大変だと思った。知力もいるが、体力もいる。
次はどんなゲストの担当になるかなと思うと、うまくできるか心配だ。でも、経験を積み重ねないと、うまくならない。



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