長年の友とフィールドワーク~過去に生きた人々の声を聴く

東京移住
複製された壁画

 久しぶりに学会に参加した。若い人は研究成果の発表に向けて、ミドル層は会の進行にと、分科会の会場を歩き回っている。とてもエネルギッシュでパワーを感じる。そして、長年にわたって会の立ち上げや運営に貢献してきた層はというと、みんなでいっしょに年をとったという観がある。すでに定年退職した人もいれば、今年だった人、来年の人もおり、若いころにガンガンやっておられた姿が思い出される。私たちは、あと何年出席できるだろうか。

 歩く動作が少し遅くなってきているし、懇談会で近況報告をする順番が回ってくると、ついつい長話になりがち。でも、みなさん黙って最後まで耳を傾け、辛抱して聞いてくださっている。研究そのものへの批評はお互いに厳しいが、人間関係では「いたわり」や「ねぎらい」の心が見えて有難い。でも、迷惑にならない程度で、けじめをつける必要もある。

 コロナ前の2019年は、長崎での学会だった。海外から二人の研究者を招聘し、一緒に発表をした。それまでの大会開催地では、地域の文化や歴史をテーマにしたフィールドワークが企画されていて、創意工夫があり、解説もすばらしかった。長崎ではまた、同僚と端島(軍艦島)に行った。ここは、2015年に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に登録された場所。島に上陸して、案内を聞きながら歩いたのは、空も海も真っ青な7月だった。

 今回の大会でフィールドワークが復活した。行き先は「飛鳥・藤原の宮都」として世界文化遺産に登録手続きが進む奈良県の明日香村一帯。6世紀末から8世紀初めに都が置かれた古代国家の遺跡群の中から、飛鳥寺、高松塚古墳、石舞台などを、「飛鳥応援大使」の案内で見て回った。日本で初めてつくられた仏像のお顔を見、飛鳥美人や青龍・白虎の図、天井の星宿図(複製が展示されている)の解説を聞いて、石舞台古墳の下(中)へ。今から一千四百年以上も前に、確かにここで生き、暮らし、亡くなった人々の息吹や痕跡が伝わってくる場所だった。地の下に、まだ多くの遺跡が眠っている。

 「青龍」「白虎」「朱雀」「玄武」という四神獣は、古代中国で東西南北を守るとされていて、ここに「麒麟」が入って五つとなる。空手や中国拳法などにも出てくるが、私は護身術の型で習い、名前と型が一致しなかったという思い出がある。心身を宇宙に広げ、生命を生み出すエネルギー(気)と調和するという教えを思い出した。生も死も、一つの大きな流れの中にある。

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